レポート

Oita GROWTH Ventures(おおいたグロースベンチャーズ)採択起業家インタビューvol.4  應和春香氏(株式会社村ネットワーク)

<令和5年度 Oita GROWTH Ventures 採択者>
株式会社村ネットワーク  代表取締役社長  應和春香氏

こちらは、⼤分県成⻑志向起業家育成⽀援事業「Oita GROWTH Ventures(おおいたグロースベンチャーズ)」の採択起業家5者の事業を始めたきっかけやお人柄、今後の展望をより多くの方に知っていただくことと、実際にアクセラレーションプログラムを開始しての現状や、今後本プログラムに期待をされている事業成長(3つのグロース)についてお話をうかがったインタビュー記事です。

採択起業家の4人目は、「野菜の規格をなくす。~おやさい多様性~」をMissionに掲げている、株式会社村ネットワーク 代表取締役社長  應和春香氏です。

株式会社村ネットワーク 代表取締役社長  應和春香氏

大分県豊後大野市生まれ。高校時代、担任の先生からあなたはよく人の悩み相談に乗ってるよね。と言われたことがきっかけで、心理という分野を意識するようになり、進路相談をした際に、お父様から言われた人に携わらない仕事はこの世には存在しない”という言葉に後押しされ、実際に心理士になるために広島の大学に進学。
”自分は何の為に生まれたのか、何の使命があるのか”を常に考え悩んできたという應和氏。
「先生や友達や家族から心理の仕事に向いているよと言われたり、それで誰かを救えるならそれがいいと思って自分で心理士になろうと思った時からは、心理っていうものがめちゃくちゃ自分の楽しいことに変わったんですよ。」と語る。
大学院に進学し、より専門的な心理を学ぶ中で、児童分野や”親業”という授業に興味を抱き学びを深めていった。
大学院卒業後は、持ち前の明るさで子どもと関わる職場で働きたいと思い、地元の大分県に戻って病院・児童相談所・スクールカウンセラーなど、臨床心理士としての経験を積む(現在も週に1回は病院で勤務している)。
2016年に結婚、2017年に出産をし、出産をきっかけに家業である村ネットワークに入社。

当初商売とはモノを売りつけるイメージで、心理とは正反対の位置にあるものだと思っており、このまま商売をしていると心理士の仕事ができなくなるのではという懸念すらあった。しかし、仕事をする中で、野菜の加工が大分県の余剰野菜問題を解決し、それが農業経営者の支援になっているという実感や、子育てに悩みを抱えるママや子どもに野菜を食べさせたいと考えているママに向けた”べジママ”事業を立ち上げたことで、これまでの臨床心理士の経験をここで活かしたいという想いが芽生え、事業継承をする覚悟を決めた。
2023年12月8日、株式会社村ネットワーク 代表取締役社長に就任。

<実績>
■「全国中小企業クラウド実践大賞 全国大会2021」全国商工会連合会会長賞受賞
■大分県アトツギ向け伴走支援プログラム「GUSH」プログラム 1 期生
■中小企業庁「アトツギ甲子園」2022 年ファイナリスト

会社紹介・事業紹介

<Vision>
・野菜に加工という付加価値をつけることで、野菜の可能性を広げること
・野菜の可能性に改めて気づき、消費される世界を築きあげること

村ネットワークは、元々20店舗ほどの飲食店を経営をしていた應和春香氏のお父様の小原秀樹氏が、余剰野菜や規格外野菜の廃棄問題の解決と、飲食店側は下処理(加工)されている素材があると助かるという視点を元に、野菜の加工を担う会社として立ち上げられた。
本社がある⼤分県豊後⼤野市は”大分の野菜畑”と言われるほど農業が盛んな地域であり、それを活かし、学校給食や飲食店・各種施設への加工した地元野菜の提供や、製菓店や企業の商品開発に携わるなどの事業を行っている。
主力商品である、パウダー野菜”VEGEMARI(ベジマリ)”は、大分県産の厳選された野菜を低温乾燥・水冷式石臼を用いて、野菜本来の色、香り、おいしさを最大限に引き出すことを追求した自慢の商品だ。
また、弁当の製造販売も行っており、そこには独自で選出・抽出した野菜の出汁を使用するなど、大分県産の原料100%の野菜がふんだんに使われている。野菜も扱い方一つで多様化するのだ。
また、自社サイトとして運営している”ベジママ”では、母としての視点と心理士としての視点で、べジマリの活用方法と共に、子育て情報やコラムを配信している。
子育て中のママがパウダーを使って手軽に簡単に調理できることと、”ただ手を抜く、楽をする”ではなく、” 大切なひとのことを想い考える”ような、自分にゆとりを持つためのツールとしての活用を願っている。

どんな事業成長を目指しているか(3つのGROWTH)

「野菜の規格をなくす。~おやさい多様性~」
~Social GROWTH、Innovation GROWTH~

村ネットワークは、独自の方法で約40種類もの野菜や果物のパウダー化に成功している。栄養価を残した細かいパウダーの実現は決して簡単なものではなく、野菜によって繊維の残し方や切り方も全く違う中、全てを手探りで研究し続けてきた。
全国では72社の野菜パウダー製造業者が存在するが、野菜パウダーがいまひとつ文化として根付かないのは「野菜の粉」として提案しているからではないかと考えた。
そこで村ネットワークは、べジマリのターゲットを子育て中のママに絞り、自らも母であることや、約2,000件もの相談を受けてきた実績のある臨床心理士でもあるという強みを活かし、子育てへの想いや体験談・情報の発信や、パウダー野菜への想いを伝えることがこのサービスの新規性であり、独自性であると考えている。
今後はその想いを具体的な言葉へ落とし込むことや、想いを伝える方法を模索していきたい。
また、自社ECサイト”ベジママ”もバージョンアップしながら運営していく予定であり、それに加えて、パウダー野菜の海外への可能性も探りながら、規格外野菜の活用に向き合っていきたいと考えている。

Oita GROWTH Venturesで挑戦したいこと

プログラムが始まって数回メンタリングを行っていますが、状況はいかがでしょうか?

「期待以上のことをしてもらっています。こういうプログラムって、ガチガチにプログラムが組み上げられていて、こっちがそれに合わせなくちゃと思って窮屈に思えたりするんですけど、すごくさりげなく支援をしてもらっているんです。
”支援してます”っていうのを前面に出してないのに、1番核となる提案をしてくれる。
自分のスピードとか、自分のやりたいことを常にずっと優先してもらえてる感じがして、それがOita GROWTH Venturesのコンセプトなのかなと思ったり。
私にとってそこにフィット感を感じるから、このプログラムを通して、最後には自分がこう変われましたという提示をしたいなと思っています。

私は、居ないと生きていけないと思えるほど母が大好きなんです。父のことは経営者の先輩として尊敬している。この2人が両親だったからこそ生まれた事業なのかもしれない。

村ネットワークのパウダー野菜で、生産者さんは自分の作った野菜が全国・海外でも食べてもらえているという誇りに。そして、パウダー野菜を買ったママたちの心がパウダーのようにふわふわっと軽くなるように。それができるのが私たち村ネットワークだと思っています。」

株式会社村ネットワーク  
代表取締役社長  應和春香
事業内容:野菜の規格をなくす。~おやさい多様性~

会社HPはこちらから

■取材・文:大塚あかり

■多様な事業成長を支援し、新しい経済と社会価値を創る「Oita GROWTH Ventures」

公式サイト:https://oita-growth-ventures.com/
主催:大分県・公益財団法人大分県産業創造機構(おおいたスタートアップセンター)
運営:KIHARA Commons 株式会社

こちら記事もおすすめです