レポート

「地域発スタートアップがEXITを目指す!その時に絶対知っておくべきこと」-O-GROWTH TALK”Startup GROWTH”- ~書き起こしレポート vol.1~

〜「地域発スタートアップ・リアル談義 ―地域で事業を続ける意義・これからの可能性」 書き起こしレポート vol.1~

木原寿彦(以下、木原): 皆さんこんにちは。KIHARA Commonsの代表取締役の木原と申します。本日はO-GROWTH-TALK2回目ということで、「地域発スタートアップ・リアル談義 ―地域で事業を続ける意義・これからの可能性」と題して株式会社クアンドの下岡さんをお招きして対談形式で話をしていこうと思います。

私自身もM&Aを経験したことと、現在は起業家の側面もありますが、支援側の側面もありまして、会社としても個人としてもベンチャー企業への直接投資やベンチャーキャピタルへのLP出資、起業家育成・ベンチャー支援・社会起業家支援などを実施しております。この度は⼤分県成⻑志向起業家育成⽀援事業であるOita GROWTH Venturesを運営をしております。それでは下岡さんの紹介をしていただきましょう。

下岡純一郎氏(以下、下岡氏):株式会社クアンドの下岡と申します。私は、株式会社クアンドという会社を、北九州を本社として、福岡にも拠点はありますが運営をしております。今日は地方発のスタートアップという立場で色々とお話させていただければなという風に思っています。

まずは簡単に会社の紹介をさせていただきます。我々は今、シンクリモートという、建設・製造といった現場に特化したソフトウェアサービスビジネスをやっております。

2017年にクアンドを起業した時は、実はそのようなSaaSのスタートアップではなく、どちらかというと地域の課題を解決する為のDXを地元のお客さんに提供するような会社でした。北九州というと、新日本製鉄とか安川電機とかTOTOとか製造業が豊富な街なんです。そういった街のレガシーな企業さんや老舗の企業さんに対してデジタルで効率化していくコンサルティングや受託開発をしていたのが最初でした。そこから「SynQ Remote(シンク リモート)」というものを開発するに至った理由はコーポレートミッションとして掲げている「地域産業・レガシー産業のアップデート」というものと関係してきます。

私は北九州で生まれ育ったんですが、北九州って人口がどんどん減って、少子高齢化が日本で最も進んでいる政令指定都市なんです。物心ついた頃からどんどん商店街は潰れていくし、人はいなくなっていくし、自分も衰退していく町にいるよりは、大学とか就職では外に行きたいと思い、最初の会社P&Gという外資系の会社で、海外でも働いたりして、どちらかと言うと地域に興味はなくて外に出ていったんです。

グローバルに出てみて思ったのは、都市のあり方において日本って凄くポテンシャルがあると。で、グローバルの中で働くっていうより自分の地域に戻ってきて、そういう地域の産業とかレガシーの産業がアップデートしていくことによって、またその産業が生まれ変わっていくみたいなことをやりたいと思って、このクアンドという会社を立ち上げました。 先程お話ししたように、原子力発電所の高圧バルブを売るメーカーさんなどニッチな製造業が北九州にはあって、そういったところのDXをやってたんですが、そういうお客様の課題を聞いていると、どこも技術者不足やその技術の継承には悩んでいたんですね。そこから今提供している「SynQ Remote(シンク リモート)」の構想のヒントは得ていきました。

これはどういうものかというと、ビデオ通話、ZoomやTeamsなどの現場に特化したバージョンでして、電話を掛けるように現場にあるスマートフォンとオフィスにあるパソコンがつながり、パソコンをクリックすると画面にマウスが出せるようになっているので、「ここをもうちょっと見せて」っていう形で、視覚的にコミュニケーションができます。

複数人が同時に入れるので、現場に一人だけ行って後は遠隔から指示や確認をするというようなことができるようなものになっています。水漏れとか傷など指示が必要な場所について絵とか図とか文字でその場で記録することができるので、資料作成とかもここでもやってしまったりということができます。

あと現場って機械音がうるさいので、相手の声が聞こえないケースあるんですけど、「もう少し近付いてください」っていう指示をAIが文字起こしをして指示したりですね。

あとは、実際、この図面とかを見せながら、図面のここが現場のここでなど、視覚的にコミュニケーションすることができるというようなものになっています。こういったツールを今提供していまして、元々建設業をターゲットに構想したんですが、製造とかインフラ、重工業、交通行政という幅広い現場に御利用いただいています。

この背景にあるのは、今日本って凄く労働力が減って需給のギャップがどんどん広がり、人手不足が慢性化していると。

で、特にやっぱりこの問題って、東京よりは地方の方が深刻で、福岡市よりも北九州市の方が深刻で、実際私も実家が建設設備業やってるんですけど、やっぱりそこも人手不足っていうのが凄く課題になっていたんですね。その中でも、デスクで働く人ではなくて、ノンデスクワーカーと呼ばれる現場で働く、技術を持った人の人手不足っていうのは特に深刻で、かつ、人手不足なのに品質とか納期もどんどん厳しくなっていくと。で、うちの実家で見たような課題って、すべからく同じように色んな地方であって、そういう地方の課題解決することそのものが日本の課題を解決することでもあり、結構そういったマーケットって大きいんじゃないかなと思って始めたのがこの「SynQ Remote(シンク リモート)」というものだったんです。

結果として、多くのお客さんが御利用いただいているということは、やっぱり同様の課題っていうのはあると今思っているというところですね。

安川電機とかTOTOっていうグローバル・メーカーが北九州市にあるんですけども、やっぱりスタートアップとしてそういう地位、そういう大きいグローバルな企業っていうのが地方から出ていくことっていうのが今後凄く重要になって来るし、今スタートアップの第1期・第2期が終わって、メルカリとかサイバーエージェントとか東京発のスタートアップっていうのは非常に社会的な地位を得たし、大きくなってきたと思うんですけど、これからは地方発のスタートアップが多く出てきて大きくなって活躍する時代なんじゃないかなという風に思っています。 こういった会社を経営していますので、今日は色々とお話しさせていただければなと思います。

木原:ありがとうございます。私達どっちも地方発のベンチャーっていうことで、そういう文脈でも注目していただくところもあると思うんですけど、地方で事業をやることのメリットやその意味やデメリットなどその辺をちょっとお話ししていけたらいいなって思っています。どうですか。

下岡氏:そうですね。ちなみに僕ちょっと先に聞きたいんですけど、木原さんの場合は大分で始められたんですか。

木原:ずっと大分です。本社とかも移動せずいまだに大分です。

下岡氏:なるほど。うちの場合は、元々創業のアイデアとかを練り出したくらいは、僕は東京にいて、企業勤めをしてました。で、その時に小学校の同級生で大学も一緒にシリコンバレー行ったCTOがいて、共同創業なんですけど、そいつも東京で働いていて。なので、起業前のアイデア出しとかプランニングは東京でやってたんですね。で、会社を作ろうってなったタイミングで、じゃあどこでどう作ろうかってなった時に、我々の出身の福岡北九州というところで作ろうとなりました。 その背景は先程お話ししたように、我々が会社を作る意義みたいな存在意義みたいなことを考える時に、やっぱり地域の産業とかレガシーの産業をアップデートしていきたいよねっていうところは決まっていたので、そうであるならば東京でやるんじゃなくて、福岡でやりましょうぐらいのノリで始まったっていう感じなんですね。

木原:じゃあ逆に戻ってきたみたいな感じですね。実家の状況とかを把握したのはいつの時点なんですか?

下岡氏:リアルな話をすると、起業すると言っても不安じゃないですか。で、僕は父親が北九州でも祖父の代からずっと建設業をしていて、妹が二人いて僕が長男なんで、順当に行けば継がなきゃいけないんですよ。でも、何か自分で会社作ったし、でも作ったとは言えそういう思いだけで帰って作ったんで仕事があるか分かんないと。で、何するかもめちゃくちゃ決めた訳ではないので。なので、半分父親の会社に入って取締役になり、経営を見ながら半分自分の事業をやってということをやっていたんですね。

木原:じゃあ最初から同時にやっていた感じなんですね。

下岡氏:そうです。リスクヘッジみに近いようなイメージですね。そんな感じでやってました。

木原:一緒に事業を始められた方はどうしてたんですか?

下岡氏:それが彼は東京にまだいたんですよ、起業した頃は。オンラインでやり取りしながら僕はお客さんを探す為の営業だったりとか起業アイデアを試すみたいなことをやっていて、それを傍らアイデア出てきたものを遠隔で東京で作ってもらって僕が持っていって当てて、みたいなことをやってたのが最初の1~2年ぐらいですかね。なので、きれいにドンといきなりやって始めたと言うよりは、やっぱり怖いので、色んなリスクヘッジをしながら食い扶持は見つけられるようにやってたっていうのが最初ですね。

木原:クレバーな下岡さんらしいですよ。

下岡氏:いや、そういうリスクヘッジをしたがる、思い切っていけないタイプなんで。受託は受託で結構儲かってて、これは多分もうスタートアップじゃなくていわゆる地方企業、Sler(エスアイヤー)みたいな話なので、ぐって伸びてIPOとかではなくて、普通に黒字化して20名ぐらいいて、みたいなことに2年目ぐらいでなって。

木原:2年目でそこまでなってるのも凄いですけどね。

下岡氏:2年目で1,000万円を超える利益が出るようになっていたんですよ。

木原:それで十分凄いです。

下岡氏:それで思ったんですけど、でもやっぱりコンサルと受託って、基本的にその頭数の売り上げだから、コンサルタントが何人いるかと、開発者が何人いるかっていう風に比例して売り上げ伸ばすじゃないですか。そうすると、福岡・九州地方でそういう人って一体何人集められるんだろうっていうのと、それが10年後、20年後、どこまで伸ばせるかなって考えた時に、10億、20億で、1~2億ぐらい利益が出てますっていう状態が限界かなと。そうなった時に、「あれ?何かそんなことしたいんだったっけ?」っていうのが自分の中にあり、そこから外部の資金を調達してスケールするようなプロダクト事業、サース事業っていうところをやっていこうっていうのが徐々に始まってきた。で、そこの種になったのが、 実家の取締役をやってる時にやっぱり取締役として事業の売り上げを伸ばしたいじゃないですか。で、まさに建設業って、現場監督の頭数が売り上げのヘッドカウントのボトルネックになるんですね。でも採用しようにもこの技術を10年、20年かけてした人って即席で作れないし、人材市場にも全然足りてないんで採用もできないと。で、そうすると、一人の人がいかに多くの現場を見れるかっていうのが重要なんだけども、「2現場しか見れないです」、「3現場しか見れないです」って言われてて。やっぱり現場が離れてると、現場に呼ばれて1時間ぐらいかけて行ってとかしてると、やっぱ1日2現場とかしか見れないと。であるならば、現場に移動せずに管理できればもっと見れるんじゃないか。と思ったっていうのがプロダクトの発想の原点ですね。

木原:それは起業したての頃の発想ではなかったんですか?

下岡氏:そうです。そうではなかったです。

木原:じゃあ最初はそういう便利なツールを作る受託ではなかったということなんですね。

下岡氏:そうです。最初は結構お客さんの課題に応じてやっていて。例えばさっきの原子力発電所のバルブメーカーさんとかだと、原子力発電所のバルブなんて頭打ちするじゃないですか。だから彼らも、「次の事業していかなきゃいけません。どうしよう。」っていう状態だったんですよ。で、そこの社長がバルブのメンテナンス技術を活かしてでやっていきたいという構想を持っていて、それで一緒にそのクラウドのメンテナンスシステムを作ってメンテナンスの売り上げが取れるような仕組みをデジタルで構築していきながらやっていきましょうみたいな。お客さんのヒアリングをしながらコンサルティングしながらプロダクト作っていくみたいな事業だったんでお客様ごとに全然違いましたね。

木原:それでも最初からそういうお客様からお仕事いただいただけでも凄いなと僕は思うんですね。

下岡氏:そこも一つ地方の魅力で、やっぱり東京とかだと1年目・2年目の会社に任せないじゃないですか絶対。でも地方って男気と言うか、外に出て経験してきた若いやつが戻ってきて事業しているんだったらちょっと仕事をやろうとか。何て言うんでしょうね。面倒見とか絆みたいなものは、元々外資で東京も代理店とかだったんで、さばさばした東京のビジネスチックなものとは違うロジックっていうのは、ある意味いいところなのかもしれないですね。

木原:そうですよね。僕らの出会いって表彰される会場などの現場で顔合わせる内にお話しするようになったのがきっかけですけど、その頃にはもう今のビジネスモデルができてたんですよね。
下岡氏:はい、できていました。

木原:紆余曲折あってなんですね。でも器用にされてるように感じます。そういった苦労話も含めて、後でもお聞きしたいんですけど。

下岡氏:地域だからこそのメリット、デメリットみたいなところで言うと、僕は結構こういう場に出させてもらうんで、いつも言うんですけど、やっぱりクアンドっていう会社は手前味噌ですけど、福岡であったり、九州であると非常に注目されていて、知名度もある程度あると思うんですけど、僕自身は何か特別なことをしているとか、凄く稀有な実績を出しているかというと全然だと思っていて。というのは、やっぱり僕達の投資先って海外のファンドで、アンドパットとかスマートHRみたいなとこに出している、その投資家の集まりとかで集まるとやっぱり凄いんですよね、東京の人達って。 なので、全然そこは劣っているにもかかわらず、やっぱりそれだけ注目を浴びられるっていうアビトラージみたいなのはあるなと思っていて。

ある意味有利というか、注目してもらえるんで、色んな話が来るし、例えば投資家も東京じゃ普通に会えない人が九州に来た時に、「良いスタートアップはどこ?」って言われたら、うちの名前が挙がって、その投資家と会えるとか。採用とかそういう意味では勝ち筋みたいなところは有利になる部分もあるのかなと思いますね。

木原:うんうん、私もそれはやっていた時が凄くあって。「なんで大分でやってるんですか。」とか聞かれるんですけど、地元だからっていうだけじゃあんまり腑に落ちない感じでした。私も注目していただき易いなっていうのは本当にありがたい環境だなって思いましたし、自治体の皆さんも結構応援してくださるなっていうのもあっていて、それも地域の方でやって良かったなというのは思いますね。

下岡氏:木原さんが大分でやろうという時って、他に選択肢があって大分だったのか、それとも大分でやるとしか考えていいなかったのか、どういう思いがあったんですか。

木原:僕が起業したと思われてるんですけど、父親が創業してるんですよ。そこに入社したんです。だから僕もサラリーマンだったんですけど、父親の会社でプロトタイプができてすぐに戻ってきました。父は電気工事会社を経営していて、こっちは僕がメインでやってたので、結局そのままメインでずっと経営をやっていたので、そういう風に(起業したと)思われがちなんです。そういう意味で言うと大分で(やることを決めていた)。

移転や移動は勿論できるし、選択肢は幾らでもあったんですけど、大分の色んな方々が応援していただけるサイクルにもなってたので、もうここを離れる必要もないし、(大分を出る)理由もないなっていう。

下岡氏:なるほど。だから第二創業っぽいと言うか、スピンアウトっぽいと言うか、そういう感じになるんですかね。

木原:スピンアウトっていうほどスピンアウトでもないし、創業と言えばほぼ創業なんですけどね。最初は一人で事務をしながら、営業もしながら、色々図面も書きながらみたいなことをしてたんで、そんな感じです。最初は父の電気工事会社の応接室を半分に仕切ったところからスタートして。こういう話をしたことがこれまであまりなかったんですけど、色々気を遣いながらやってました。

下岡氏:僕も多分作りは同じで。あとは父親の会社のリソースも使わせてもらうこともあったかもしれない。だけどもうちの場合は、会社を分けたというか、資本を分けたっていう感じですね。

木原:採用という言葉がさっき出たので、最初に共同でやられた方とかは経営ボードでいらっしゃると思うんですけど、会社の成長に合わせて経営ボードの人材もそうですけど、他の従業員さんや社員さん含めて採用って私は結構大変だったんですけど、その辺はどうですか。クアンドに人は集まり易いかもしれないですけど。

下岡氏:そうですね、これも多分フェーズによって違って、創業期って最初2人とか1人で始めて、次5人ぐらいになって10人ぐらいになる。で、15人ぐらいまでのフェーズは全然地域でも良くて。地域って一定数外で活躍してきた人とかもいるし、いきなり凄くとがった成果を出している人っていうのもいると思うんですよね。で、具体的に言うと、今うちのCFOって元々熊本の肥後銀行出て、その後ドーガンっていう独立系のファンドで再生のファンドマネージャーをやってそこからうちに入ってきたんですけど。一回も外に出てないですけど、ファンドも数十億を集めてその運用して経営に入ってやってたんで、そういう人材がいたし、彼自身自力があるんで、スタートアップに入って自分をアンラーニングしてCFOとしてやっています。うちの今のCROもワークスアプリケーションに新卒で入って、その後ビズリーチに行って戻ってきてやってるみたいな。あとリクルートとか、そういう人材で最初は結構固まってたなっという感じですかね。なので、結構その“数名”っていう単位は全然いると思います。一方で、今そのフェーズなんですけど、そこから更にスケールする場合で、かつファンクションのリーダーみたいなところになると結構厳しいなと思っているので、そこはやっぱり地域の中だけじゃなくて外も含めて採っていかなきゃいけないかなと思ってます。

木原:今は手ごたえも含めてどうですか?

下岡氏:地域外の採用に関しては、活動量をあげればそういう人材はいるなと思いますね。

木原:その場合は、北九州の方に来てもらう前提?

下岡氏:僕は、地域を限定してしまうと優秀な人材取れないと思っていて。地方発スタートアップと言えど、成長を諦めて地方にすることはスタートアップじゃないと思っているのでそっち優先。なるべく福岡の人を採るとか、福岡に行き易い環境を作るっていうのはしてますけど、今の採用は福岡に限定せずに採用してますね。

木原:資金調達も最近されたっていう話もしてたんで、その辺もお聞きしたいんですけど。テーマにあんまり沿ってないんですけど、資金調達とか資本政策って結構経営者の考えが出るところだと思うんですよ。どう調達するかとか大事にしてるポイントとか何かこだわりがあれば教えてください。

下岡氏:スタートアップって最初はエンジェルラウンドとかシードラウンドって呼ばれるアイデアだけあるけど何もない状態から始まって、ある程度プロダクトができてアリーフェーズで、シリーズaみたいな感じで調達していくじゃないですか。で、一番最初のアイデアの部分ていうのはアイデアだけで数千万みたいな。 で、何か最初から起業する人、それすげえって思うけど、ある意味その数千万、数百万のお金で数十パーセントの株式取られるって、後々考えるとめちゃくちゃ嫌じゃないですか。そこは多分、凄い気を付けた方がいいなっていうのと、たまたま僕達はさっき言ったように、売り上げが受託で利益出てたんで お金があったんですよ。だからそれを使って一番最初のモックアップとか、お客さん付くぐらいまではできたので、そこのラウンドはスキップできたのは良かったなと思っていて。

木原さんとかもそうですけど、本業があって何か収益があるのであればそれをうまく活用して最初の段階までは作る方がいいなと思います。そこからプロダクトを成長させる時に、投資を受けようと思ったんですけど、色々回った結果、リード投資家と呼ばれる人は福岡のベンチャーキャピタルではないですよね。地域のベンチャーキャピタルではなくて、東京とか海外のファンドですと。これはやっぱり、僕達が今からスタートアップとして成長する時に、地域の飲食店とかするんならば地域完結でもいいけども、優秀な人材を引っ張ってくるとか顧客をどんどん外から取っていこうとすると、どうしても外の知見とか外のネットワークが必要だったので、そのネットワークを持っている投資家に入ってもらいたかったんです。特にSaaSはノウハウとかナレッジが重要な分野なので、それを持っているALL STAR SAAS FUNDというSaaSが入っているところに投資をしてもらったりとか、ユーザーベースみたいに自分達でSaaSをやったところが投資家として入ってもらって。それだけだと外に全部お金が流れるので、一部地元のドーガンとかF Venturesっていう地元の人達にもお金を入れてもらってミックスしたっていう感じですかね。

木原:模範解答で良い感じですね。もうその通りだとしか思わなかったんですけど、最初からエクイティ入れがちなのは、僕も注意だと思ってて、全くエクイティを入れずにM&Aまで行ったんで本当に良かったなと思ってるんですけど、やっぱりこちら側からしたら適正に価値を理解していただけないと言うか、最初は僕の中ではもうできていたとしても、そこは信用や信頼の問題もあるし、だからこそ、踏ん張れる限りは踏ん張った方がいいなと思うし、エクイティを入れなくていいのであれば、入れずにどこまで行けるか。成長段階によっては今おっしゃったみたいに、ここまでやる、もしくはグローバルでやるって言った時に、応援していただける方のポテンシャルや技能も含めてやらないと結局お金だけになっちゃうし、それは勿体ないことなので、そういうところまで込みで起業家の方は考えてもらえるといいなっていう風に思います。

下岡氏:そうですね。ただ、情報やナレッジというのは地域にあんまり集まってないデメリットですよね。

木原:本当にそう思います。なので、それを知っていただく機会として、今日のトークもその一つだし、僕の経験とか今まで考えた軌跡も含めてこういう場でまた思い出して喋れるので、それもあってこのような企画をした経緯もあります。

下岡氏:エクイティを全く入れなかったっていうのは、どうやって最初のキャッシュフローが回るとこまで持っていったんですか。

木原:最初は父の電気工事会社は普通に経営できてたので、その部分で最初に支援を受けた部分もあるし、銀行融資で繋いでいってました。

下岡氏:銀行融資の信用は、電気工事の方の信用でもあるっていうことですか。

木原:電気工事の信用でもあるし、実家の土地が担保になってたので、そういうアセットがあったことは先祖に感謝しています。それが全て揃った環境だからこそ生き延びられたっていうのもあります。7、8年債務超過で、普通なら続かないですがそれで何とかなったんです。ただ担保の問題だけじゃなく、金融機関の方が信じてくれたとかっていうのもありますね。

では次のテーマに行きましょうか。

––––––– vol.1 終わり

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