レポート

Oita GROWTH Ventures(おおいたグロースベンチャーズ)採択起業家インタビューvol.3 宮田 宗武氏(株式会社ドリームファーマーズJAPAN)

<令和5年度 Oita GROWTH Ventures 採択者>
株式会社ドリームファーマーズJAPAN 代表取締役 宮田 宗武氏

こちらは、⼤分県成⻑志向起業家育成⽀援事業「Oita GROWTH Ventures(おおいたグロースベンチャーズ)」の採択起業家5者の事業を始めたきっかけやお人柄、今後の展望をより多くの方に知っていただくことと、実際にアクセラレーションプログラムを開始しての現状や、今後本プログラムに期待をされている事業成長(3つのグロース)についてお話をうかがったインタビュー記事です。

採択者の3人目は、「農家の力で農村イノベーション」を理念として掲げる、株式会社ドリームファーマーズJAPAN 宮田宗武氏をご紹介します。

株式会社ドリームファーマーズJAPAN 宮田宗武氏

1975年生まれ。宇佐市安心院町出身。高校時代の進路選択の際、元々生物が得意だったことと、ドラマ「高校教師」への憧れから教師になることを目指し東京農業大学に進学。
進路選択に悩んでいた4年生の頃、”自分がやりたいのは教師なのか?ただ学問を教えるのではなく、人に”生き方”を教える人になりたい”と思い、当時の恩師に相談したところ、「おまえは大学院に進んで農村の先生になりなさい。田舎だと大学院を出ている人も少ないだろうから、ここでネットワークを作って勉強の仕方を学んで、地方に帰って困ったらそのネットワークを使ったり学んだことを活かしたりして地域に貢献しなさい。」と言われ大学院に進むことを決めた。
それと時を同じくして、地元ではお父様がグリーンツーリズムを本格的に始動しており、宮田氏もそこに農村イノベーションの可能性を感じていたため、大学院ではぶどうに拘らず、細胞融合の分野など幅広い視点から地域活性に活かせる科目を選択した。

「家が農業をやっていたので親との距離が近かったですし、親の影響は受けやすかったと思います。だから親の視野がどれだけ広いかというのはとても重要ですね。」と話す。

東京農業大学院卒業後は地元に帰り、実家のぶどう園で就農。
それまでに得た知識を活かし、農村と観光を掛け合わせた”観光ぶどう園”や、果物の加工、種入り品種にこだわった「王さまのぶどう」ブランドの展開など、思い描いていたことを実現してきた。
2012年、農業を通じて地域の様々な課題を解決したいと志す農家5人で株式会社ドリームファーマーズを設立。
2017年には事業拡大に伴い、株式会社ドリームファーマーズJAPANに改名。

■九州地区農業青年連絡協議会 会長(2007 年)
■2020 年ディスカバー農山漁村の宝AWARD九州選(2020年)
■M‐1 グランプリ 1 回戦敗退(2022 年)

会社紹介・事業紹介

株式会社ドリームファーマーズJAPANは、「農家のチカラで農村イノベーション」を理念に、農業経営する農業者 5人で法人を設立した。

農業を通じて地域の様々な課題を解決するために、安心院が誇る農産物の販路拡大やイベントスペースの活用などで地域の活性化に繋がる活動を行う。
生産から加工までを手掛けるドライフルーツやフレッシュフルーツは、現在九州に40店舗、関東25店舗、関西3店舗の取引実績があり、海外にも輸出している。

また、安心院は、日本の”農村民泊発祥の地”であることと、ドリームファーマーズJAPANのメンバーがそれぞれ独立した農業者であるという独自性を活かし、安心院ならではの暮らしや文化を体験できる旅を提供するグリーンツーリズム事業を展開している。大分大学の学生との共同プロジェクト、”農村ベース大学(BunDaiドリーム)”の開校や、大学のゼミと共同で行っている竹林の再生プロジェクト、一棟貸し切りの宿「古民家 BASE・龍王」の運営など、安心院独自の資源を活用しながら、安心院ブランド価値向上、地域の雇用の創出、関係人口の増加などに尽力している。

どんな事業成長を目指していますか(3つのGROWTH)

農家の力で農村イノベーション
-Social GROWTH・Innovation GROWTH-

「多くの人に自分たちのことを知ってもらう為ならyoutubeだってやるし、M-1にも出る。変わってるって言われるけど、自分から言わせたらそんなこと言う人たちの方が変わってると思う。地域が衰退していく中、何も変えようとしない・変わろうとしないままで本当にいいのか。」

農村が衰退していくことはその地域に住む人たちだけの問題ではない。

農作物の自給率が急速に下がっていく昨今、米や野菜など農作物を育てるプロである、農業を営む人たちとの繋がりを作ることは、自分たちや日本の食や文化を守ることにも繋がる。

”農村BASE”がそんな出会いや交流の場になってほしいし、地域全体で安心院に人を入れられるようにネットワークを構築していきたい。その為には、農業・農村の課題解決に共感してくれる人や支援者等の関係人口を増やすことが重要であり、現行の取り組みに、内と外から必要なヒト・モノ・コト・バショを足し算して、ドリームファーマーズJAPANの事業が、農業・農村の再生ビジネスの起爆剤となるのが目標だと語る。

Oita GROWTH Venturesに期待していること

プログラムが始まって数回メンタリングを行っていますが、状況はいかがでしょうか?

「自分は人よりも頑張らないといけないと思ってるんです。夜は勉強したりSNSの作業したりするから食べたら眠くなるでしょ。だから自宅で食事をするのは月に数えるほどしかないんです。目前の課題を”仕方ない”と思って考えることをやめると今の農村のように衰退していく。”なんでこうなっているのか?じゃあどうしたらいいのか?”を常に考えることが大事だと思うんです。

でも農業・農村を担う自分たちだけではどうにもならなくなってきたので、今回Oita GROWTH Venturesの力を借りて、自分たちは何ができるんだろうというところに意見をもらいたいと考えています。
話をすることで整理ができるし、客観的にアドバイスしてくれることは貴重です。

だから、農村の中だけで考えるんじゃなくて、こうやって全く違う分野の外の人に客観的な意見をもらってこれからの社会を一緒に作っていけるというのはありがたいです。
今の情報を整理して、まず地域の中の人たちに自分たちのやっていることやなぜそれをやるのか想いを伝え、さらに県外の人や若い人たちなど広い人たちに伝えていく。それを段階を踏みながらしてやっていきたいです。」

株式会社ドリームファーマーズJAPAN 

代表取締役:宮田宗武
事業内容:農家の力で農村イノベーション

会社HPはこちらから

■取材・文:大塚あかり

■多様な事業成長を支援し、新しい経済と社会価値を創る「Oita GROWTH Ventures」

公式サイト:https://oita-growth-ventures.com/
主催:大分県・公益財団法人大分県産業創造機構(おおいたスタートアップセンター)
運営:KIHARA Commons 株式会社

こちら記事もおすすめです