レポート

Oita GROWTH Ventures(おおいたグロースベンチャーズ)採択起業家インタビューvol.1 茶屋元 崇行氏(株式会社ファイン)

令和5年度 Oita GROWTH Ventures 採択者株式会社ファイン  統括本部長 茶屋元 崇行氏 

こちらは、⼤分県成⻑志向起業家育成⽀援事業「Oita GROWTH Ventures(おおいたグロースベンチャーズ)」の採択起業家5者の事業を始めたきっかけやお人柄、今後の展望をより多くの方に知っていただくことと、実際にアクセラレーションプログラムを開始しての現状や、今後本プログラムに期待をされている事業成長などについてお話をうかがったインタビュー記事です。

まずお一人目に、「生前から死後までの手続きサポートと、想いを若者や社会へ遺す遺贈寄付の仕組みづくり」を目指している、株式会社ファイン 統括本部長の茶屋元 崇行さんをご紹介します。

株式会社ファイン 統括本部長 茶屋元 崇行氏

1981年大分市生まれ。岩田学園 ( 岩田中学校・高等学校 ) 卒業。法政大学法学部卒業。
大学卒業後は、「人の役に立ちたい」という想いから大分合同新聞に入社。
「当時の実家は家業として長く仕出し料理店を経営しており、その間に祖父を亡くし見送る経験をした。祖父のお葬式で棺の中の祖父の頭に触れながら”最後は自分が見送った”と 感じた場面を今でも鮮明に覚えており、そのお葬式で“人をおくる”ということに強烈なインパクトを受け、葬儀や亡くなった後の世界に興味を持つようになった」と話す。
その後、現社長が、形重視で費用も不透明な当時の葬祭業界に疑念を抱き、「形よりも心 を重視し、細やかで心のこもったお葬式をしたい」という強い想いから、ご家族や社員の 後押しもあり葬祭業に参入。 大分県では初となる「家族葬」という名称を用い、2010年に「家族葬の判田台会館」を開設した。
茶屋元氏自身も、故人の生前からの想いを叶えられるよう、遺族の心の支えとなり、「その人らしさ」を表現できる葬祭業に強く魅力を感じ、2011年大分合同新聞社を退職し家業の株式会社ファインに入社する。 現在は統括本部長として、葬祭事業部の業務全般の管理、事業の企画や広報等のマネジメント業務、地域の人との繋がりを重要視した地域連携業務を担っている。 

資格:社会福祉士/宅地建取引士/浄土真宗僧侶/認定NPO法人グリーンバード大分チーム リーダー/社会福祉ファンドレイザー

主宰事業として、豊かなシニアライフを提案する「おおいた終活フェア」、シニアの美と 健康をサポートする「ファインエイジング研究室」、大分に幸せを広げる「OITA Wellbeing EXPO」等がある。

会社紹介・事業紹介

「誰もが、誰かに見送られる安心」を社是とし、故人やご遺族本位のお別れと費用の明瞭 性を重視した葬祭事業を3市8会館で展開している。
ライフデザイン事業にも力を入れており、「送ってくれる人がいる安心」を生前から感じもらえるように、いざとなった時に頼れる専門家やサービスを紹介する終活フェアや講演会、人との出会いや自分らしく生きることを提案するイベントを開催し、地域のネット ワークを広げている。
「みんなの後見センター」も株式会社ファインが行っている、地域ネットワーク発展事業の一つである。2000年に始まった成年後見制度はお金の面や出てくる専門用語の難しさから、制度を必要とする人が多いのになかなか浸透してこなかった。
認識が不十分のまま制度を使い、不利益を受けている人たちもいる。不利益を被った方々が声を上げることも、これを解決することも難しいのが現状だが、正しく使えば有用な制度でもあるため、誰でも気軽に相談できる場所をつくりたいと考え、「みんなの後見センター」を立ち上げた。
同センターの取り組みは、成年後見ラジオの配信や成年後見制度に関する検討会、市民後 見人養成講座への講師派遣など多岐にわたる。

どんな事業成長を目指していますか(3つのGROWTH)

生前から死後までの手続きサポートと、想いを若者や社会へ遺す遺贈寄付の仕組みづくり
-Social GROWTH・Innovation GROWTH-

茶屋元氏の目標は、「大分へウェルビーイング(しあわせ)を広める」こと。
その目標のために、独自の地域財団設立を目指している。 財団にする理由は、葬祭業をやっているからこそ見える現代社会にある。
時代の流れとともに、家族や地域コミュニティといった従来の社会の仕組みから、超少子高齢・無縁多死・ 孤独孤立という現代社会への変容に課題を感じているからだ。

「葬儀の現場では相続人がおらず遺産が国庫に帰属するケースが増えており、2021年は647億円で過去最多になった。一方、地域には子どもや社会的養護経験者、障がいを持つ方々など、どうしても支援が必要な人たちがいて、声を上げたくても上げにくい現状がある。
そのような方々の声を代弁し、企業寄付やいずれは遺贈寄付につなげることで、必要なところにお金が循環する仕組みをつくりたい。
身近な地域に気軽に自分のことを話せる居場所ができ、もっと互いに歩み寄れる社会になれば、誰にとっても暮らしやすい大分になるはず」と話していた。

Oita GROWTH Venturesに期待していること

プログラムが始まって数回メンタリングを行っていますが、状況はいかがでしょうか?

「本業がある中、自分たちだけで新たな取り組みをやろうとすると“忙しいから仕方ないよね”と後回しになりがちでした。ですが、今は定期的なメンタリングで伴走してくださるので、スケジュール管理や課題の整理など、スピード感を持って進められています。 
また、どうしても自社や業界の枠にとらわれてしまうところもあります。メンターから俯瞰した視野の広いアドバイスをもらえるだけでなく、業種を越えた企業とのマッチングなど、思いがけない展開もありました。
(想いを若者や社会へ遺す遺贈寄付の仕組みを)構想する仕組みが実現できたら、地域にとってもすごい収穫だと思うんです。
地域のお困りごとに光を当てて、みんなで一緒に考えていく。社会課題は一企業だけでは解決できません。その点でもOita GROWTH Venturesでキッカケをいただき、後押ししてもらえるのはすごくありがたいです。私たちが何を考え、何をしているのかを、世の中に広く知ってもらえることを期待しています。」

令和5年度 Oita GROWTH Ventures 採択者

株式会社ファイン統括本部長:茶屋元 崇行氏
事業内容:⽣前から死後までの⼿続きサポートと、想いを若者や社会へ遺す遺贈寄付の仕組みづくり。

会社HPはこちらから

■取材・文:大塚あかり

■多様な事業成長を支援し、新しい経済と社会価値を創る「Oita GROWTH Ventures」

公式サイト:https://oita-growth-ventures.com/
主催:大分県・公益財団法人大分県産業創造機構(おおいたスタートアップセンター)
運営:KIHARA Commons 株式会社

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