レポート

「社会課題解決とビジネスの両立を目指す!ゼブラ企業と大分発イノベーションの可能性」-O-GROWTH TALK”SOCIAL GROWTH”- ~書き起こしレポート vol.1~

※この記事は「社会課題解決とビジネスの両立を目指す!ゼブラ企業と大分発イノベーションの可能性」-O-GROWTH TALK”SOCIAL GROWTH”- ~書き起こしレポート~ vol.1です。

木原真理子(以下、木原):皆さん、こんにちは。Oita GROWTH Venturesの木原真理子と申します。 今回のO-GROWTH TALKは「社会課題解決とビジネスの両立を目指すゼブラ企業と大分発イノベーション可能性」ということで、「SOCIAL GROWTH(地域課題や社会課題の解決とビジネスの両立を目指す成長)」をテーマにして、株式会社ゼブラアンドカンパニーの田淵さんをお迎えして対談していきたいと思っております。

田淵さんは、ZEBRAS_AND_COMPANY(ゼブラアンドカンパニー)の共同創業者で、米国のZebrs Uniteの役員理事もされております。

田淵さんご本人から自己紹介もあると思いますが、「ゼブラ企業」というのは国策の中にも取り入れられて、名前だけ聞いたことがあるかもしれませんけれども、社会課題の解決とビジネス的な事業の成長、その両立を目指すようなゼブラ企業というものが、グローバルにもすごく増えてきていると思います。考え方としてSocial GROWTHが目指す成長に非常によく似ているということで、今日は対談をさせていただきたいなと思っております。

本日モデレーターを務めます私は、Oita GROWTH Venturesの運営をさせていただいております。

元々は心理学出身で、リクルートに入社した後に独立して株式会社OMOYAという会社を経営しております。今年度から取締役を務めるKIHARA Commons株式会社でOita GROWTH Venturesの企画・運営をさせていただいています。

色んな起業家の支援等にも関わってくる中で、このゼブラさんもそうですし、いわゆる社会起業家の方とか社会課題を解決したいと考えている起業家の皆さんがぶつかる“壁”に対してどのような支援が必要なのか、もしくは起業家の方々自身がどのような目線を持つべきなのかということについて、色々な知見を皆様と一緒に深めていきたいなという風に考えております。 ということで、田淵さんよろしくお願いします。

田淵良敬氏(以下、田淵氏):よろしくお願いいたします。

改めまして、ゼブラアンドカンパニーの共同創業者、代表取締役の田淵と申します。

私は元々商社で働いたりとか、全然今と関係ない仕事をやっていたんですけども、LGTというリヒテンシュタイン・グローバル・トラストの略なんですけど、ここに移って、今で言うインパクト投資、社会的投資なんて言われたりもしますけども、これを始めたのが今に繋がるきっかけだったかなと思います。私はフィリピンにいて東南アジアの社会起業家に投資をしたり経営支援をするっていうようなことを、スタートアップに近いような企業で、かつ社会起業家と呼ばれる人たちに投資をしたり経営支援をしたりするっていう仕事をやってきました。2015年に日本に戻ってきて、そこからは日本で、日本の社会起業家に投資をしたりとか経営支援をしたり、という仕事をしてきています。

自分が感じた問題意識みたいなのが、実は今のゼブラ企業を広めたり、ゼブラ企業に投資をしたり経営支援をしたりそこに繋がるんですけども、何を感じたかというと、1つは、私が始めた当時ってもう10年ぐらい前ですから、10年前のインパクト投資とか社会的投資の世界っていうのは、いわゆるベンチャーキャピタルとか、投資をやっていた方が業界に流れ込んできているような時期でした。

その時はみんなが仮説として持っていたのが、今まで自分がやってきたやり方を、社会や起業家に当てはめればうまくいくよねっていうようにみんなが思ってたことで、それはどういうことかっていうと、「どんとお金を投資をして短期間でぐっと急成長する。」そういうのがいわゆるユニコーン企業と言われるFacebookだとか、もっと昔だとgoogleとか、ああいうアメリカの企業なんかがまさに言われるわけですけども、未上場企業で約1000億円以上の企業価値を短期間でつけるような企業のことをユニコーン企業って言ったりしました。

だから、そういう意味で言うと、みんなが目指してたのはそういう企業で、かつ、社会起業家っていうのを探して投資するっていうのが、みんなが探していたインパクト投資のやり方でした。で、自分はいろんな起業家さんと会ってきてすごく感じたのが、起業家が目指す事業って、別にみんながみんなこんなにすごく急成長して1000億円を目指してるわけじゃないんですね。特に3年とか5年みたいな短期間でみんな見ていたので、 そんな、5年で上場します!1000億円になります!っていう企業ばっかりじゃないですし、別にみんなそれを目指してるわけでもない。むしろ自分たちのステークホルダーって誰なのか、そういう人たちに与えるインパクトってどういうことなのかだったりとか、そのためにはどんな事業を組み立てていかないといけないのかって考えていくと、結局成長の仕方っていうのはいろんな成長があるわけですね。

そう思うと、起業家が求めていた資金の性質と、投資家が出そうとしていた資金の性質にものすごいギャップがあるなっていうのが私が感じたのが問題意識です。

「ゼブラ企業とは」っていうところの説明に入りますけども、ゼブラ企業ってのは、元々アメリカで生まれたコンセプトです。

私が今社外役員をやっている組織を生み出したんですけども、その創業者が彼女たち4人ですね。

たまたま彼女たちに会う機会があって、話を聞いてたら、自分が考えたこととほぼ同じことをアメリカで考えていたということを知りまして。

それで、これをじゃあ日本で展開させてくれということで、彼女たちとパートナーシップを組んで1番最初はこのゼブラズ・ユナイトっていう組織の日本のチャプター(東京チャプター)を作って、まずはコンセプトを啓蒙するっていうところから始めました。そういう意味でいうと、さっきお話した指数関数的な成長自体を目的としちゃうケースもあるんですけども、それに対してゼブラ企業っていうのは持続的な繁栄であったりだとか相利共生みたいな。

ゼロサムゲームで誰かが勝つっていうよりも、一緒に市場を大きくしていくっていう考え方で社会に対して良いインパクトを与えていくっていう、そんなことを目的にしたりしてるのがゼブラ企業です。

これは我々が掲げている4つの特徴というとこなんですけども、見ていただくとわかるように社会的インパクトと書いてありますけど、より良い社会を作ることっていうことで、社会的インパクトっていうものをすごく大事にしてるのと、あと形骸的なチェックみたいなものはあんまり入れていなくて、どちらかっていうと、経営者さんとか組織のマインドセットみたいなものや姿勢みたいなものを大事に我々としては見ています。

ですので、1つ目は、より良い社会を作るっていうことを事業を通じてやるっていうことを目的としているかどうか。

それからさっきお話したように、お金をどんって入れてぎゅっと成長するという単純なものというよりは、より複雑により長い時間が必要だったりとか、コミュニティが必要だったりとかっていうものが2つ目ですね。

それから(3つ目は)、より長期的な目線で見るっていうことと、インクルーシブっていうのは、包括的とかたくさんのステークホルダー(関係者)として、例えば株主っていうのも関係者ですし、世の中では株式会社っていうと株主にいかに返すかみたいなのが見られたりする傾向もあるわけですけども、そうじゃなくて、会社って実はいろんな関係者、株主もいれば、従業員もいれば、お客さんもいれば、供給者の方もいれば、場合によっては、例えば地域の住民みたいな人も入ってくる可能性もある。そういった幅広い関係者を見てるかどうかっていうところです。
あとは(4つ目として)、それをしっかり行動にできてるかっていうのを我々としては見たりしています。
で、我々の会社について説明できたらと思うんですけども、実は会社の設立前に作った僕らのビジョン(業界用語だとセオリーオブチェンジって言われたりするんですけど)に向かって、どう走っていくかみたいな地図です。

1番上の、優しく健やかで楽しい社会を作るっていうのが、我々のビジョンにしているところです。これ、階段があるのをちょっと見ていただくとわかるかもしれないですけど、だんだん下から上に上がっていくイメージで作っていて、そういう意味では今この真ん中の赤紫のところをしっかり走り回って頑張ってますっていうのが今の現状です。

1番最初に始めたのは、さっきお話した、まさにゼブラズ・ユナイトと組んで、そもそもゼブラ企業って誰も知らなかった言葉を広めていくっていうことから始めました。で、思った以上の反響があって、そういう意味では啓蒙するだけじゃなくて、お金だったりもそうですし、実務支援をしっかりと提供するっていうことで、ゼブラズ・ユナイトっていうもの以外にゼブラアンドカンパニーっていう、私が代表をやってる株式会社を別途作って、今この会社で投資をしたりとか経営のご支援をしたりっていう、まさに実例を作ってることと、自分たちがやってることを少し言語化したり、人に説明できるようにしていること、それから、自分たちでできることは知れてますので、いろんな人と一緒に協力しながら協業関係を持ってやっています。

そもそも僕らの目的としては、こういうゼブラ企業っていう世界観を広げていくこと。それが自分たちのビジョンに繋がると信じてやっています。

実際具体的な事業は何やってるかっていうと、投資と経営支援と、後のところは比較的さっきお話しした、ムーブメントっていう啓蒙活動をやってます。

あとは協業の推進と、さっき言った言語化みたいものの5つの事業をやっています。具体的なとこをさらっと紹介しておくと、経営支援の一環なんですけれども、最近立ち上げたサービスとしては、「ゼブラズファイナンスデザイン」っていうものを作ってまして。

簡単に考え方だけさらっとお話すると、自分も色々起業家さんと会ってる中で、「もう1回やり直せるなら、株主構成考え直したい」とかっていう声も聞くこともあって。でもなかなかやっぱりそれってできない。1回やっちゃうとできないんですよ。

なので、ちゃんと長期的に考えてどんな人に株主になってもらうとか、あるいは逆に、株主じゃなくて他の形で資金を供給してもらうとかいろんなパターンがあり得るので、そういった基準を持ちながら考えていきましょう、それをサポートしますよっていうような事業をやってます。

会社で言うと、だんだん成長していく中でも適したお金っていうのもありますし、適した支援者っていうのもいますので、それを一緒に考えていこうっていうものです。
で、我々がやってることで、特に今回のテーマに近いところで、地域に関わるところっていうと、真理子さんが最初にお話ししてくれましたけど、岸田政権の骨太の方針っていうのに「ゼブラ企業」という概念を今年入れてもらったというところがかなり大きいです。で、地域にもすごく関係してくるかなというところです。

最近だと、ニュースピックスさんと三井不動産さんがやっているPOTLUCKというもので登壇させていただいて、検索するとYouTubeで出てたりするんで、よかったら見ていただいたらと思います。(以下URLより視聴可)

YouTubeの中で、地域のお話をしたりとか、我々がやってる事業としては、長野県の塩尻市で、地域型インパクト投資という名前で、塩尻市とかそこにあるインキュベーション施設の『スナバ』さんをご支援しながら、一緒に起業家支援をやったりしていますというところです。 あと、最後は宣伝みたいになりますけど、採用募集を今随時やっておりますので、ご興味あったらご連絡ください。ちょっと長めになりましたが以上になります。

木原:ありがとうございます。田淵さんに聞きたいことがいっぱいありすぎて、どこから始めようという感じなんですけど、ちょっとその前に、お話聞いててふと思ったんですけど、1番最初の自己紹介の時にもインパクト投資っていうお話をしていただいたと思うんですが、「インパクト投資」という言葉自体もまだまだ馴染みがない方もたくさんいらっしゃると思っていて。

いわゆるインパクト投資とか、同じように使われる言葉だと、ソーシャルインパクトとか社会的インパクトとかって、最近日本でもよく聞くようになったと思うんですが、例えばインパクト投資というのはどういうものなのかっていうのを少し教えていただくことはできますか。

田淵氏:わかりました。インパクト投資っていうのは、企業への投資の中でもちょっと特殊な投資って言っていいと思うんですけど、目的が社会にインパクトを与えるという目的を持つ企業さんに投資をしますと。

例えばその起業家さん、あるいはその企業がやっている事業を通じて、 社会的なインパクトを作ろうとしているかどうか。これはさっきのゼブラ企業の説明にも重なるところがあって、まさに社会的インパクトを作ることをしっかり意図として持ってやっているかどうか、そういうところを見極めてお金を投資をするとか、株式を買って出資をするっていうのが、ざっくりと一般的なインパクト投資の説明になるかなと思います。企業ってなんでも社会的インパクト作ってるよねっていう話なんですけど、やっぱり、すごく大事に見てるのは事業の意図っていうところであって、結果的に良いこと出来ましたっていうのはちょっと意図がない、たまたまできたこととはちょっと違う。

木原:意図がしっかりあって、なんとなくぼんやりと抽象的に社会を良くしたいとか、例えば地域を良くしたいとか、ふるさとを良くしたいとかそういうことではなくて、明確に、この事業を通して社会の中のこういう課題を解決するとか、こういうふうに良くするって、まず意図がはっきりあるっていうこと。あと、インパクト投資って、その投資を受けるという意味合いで言うと、すごくロジックというか数字が大事だろうとなと思っていて。社会に対するインパクトってすごい測りづらいものという風に考えるじゃないないですか。

なんかちょっとでも良くできたらいいなっていう思いで事業されてる経営者の方たくさんいらっしゃると思うんですけど、結構インパクト投資だったり、いわゆるインパクトスタートアップと言われるような、インパクト投資を受けて成長していくようなスタートアップとかベンチャー企業って、ちゃんとこうインパクト投資の中で数値分解していったりとか、数値でちゃんと目標を持っていったりとか、どういう項目がどう上がることを目指すかっていうことをしっかりと明確化していくっていうのは特徴にあるのかなというふうに思っていて。

ただその辺りも初めて聞く方もいらっしゃると思うので、先ほどセオリーオブチェンジもどういう世界を作りたいかっていうのを見える化した1つの指標だと思うんですけど、何か皆さんに分かりやすいものがあれば教えていただけますか。

田淵氏:そうですね。それで言うとインパクト投資の中でも、おっしゃった通り、数値やロジックを大事にする人たちも一定数かなりいます。それも1つの特徴ではあります。

ただ、インパクト投資ってそれだけかっていうと必ずしもそれだけではなくて。我々もかなり自分たちの活動に取り入れてる部分ではあるんですけども、どうしても数字で表せない。そして残ると。それをいかに定性的であっても、例えば言語化したりそれをしっかりと表すことで、社会的インパクトっていうか、場合によってはストーリーになっていたりだとかってあり得ると思うんですね。

で、これはもう投資家によって、多少ポリシーみたいなもの、好みとか違うので、「うちは必ず定量化できるものを大事にします」って言ってやるインパクト投資家さんもいますし、「いや、それだけじゃなくて定性的な部分も大事にしてるよね」っていう方もいると思います。

どんなものがあるかっていうと、具体事例としては、例えば、これは『株式会社陽と人(ひとびと)』さん。

我々の出資先の会社さんなんですけども、何をやっている会社かと言いますと、元々福島で起業されてた小林さんって代表の方が、2つ事業をやっていて、最初は農家さんのサポートをするっていう。福島って柿とか桃とかが有名なので、そういう農産物の販売や青果物の販売っていうのをまず始めました。で、その上で小林代表が見つけたのがこの柿の皮で、人の肌に良い成分を持っているっていうことを科学的に実証して、発見をして、これを製品にできないかっていうことで作った新しい製品がこちらです。これは、女性のデリケートゾーンと呼ばれるところの石鹸とかシャンプーとかオイルとか、この柿の皮を原料にして製品を作ってると。
これを福島だけじゃなくて、東京、大阪、あるいは海外とかオンラインとかで売ってるんですけど、そういうところで販売しますっていうのを陽と人(ひとびと)さんがやっています。で、じゃあこの会社さん、あるいは小林代表が作ろうとしてる社会的インパクトってなんなのかっていうのを、我々が出資する前に一緒に考えました。で、これが日と々とさんのセオリーオブチェンジで、さっき私がうちの会社の分をお見せしましたけど、これは『陽と人』さんの分になっていて、

特に課題としてはさっきお話した通り2つあって、1つは元々やっていた農産物の販売がベースとして最初にあるんですけども、地方創生っていうよくあるお話ではあると思いますけど。

例えば、人口が減っていくっていう話か、東京一極集中で、結局それって地元の人の中で価値観がすごく画一的になっていてっていう問題が根強くあった。

そうすると、実際に新しい付加価値だとか、仕事を作れる人材がなかなか入っていきにくかったとか、ある種負の連鎖みたいなものが起きて、なかなか地域が潤わないよねっていう問題がありました。

そこに対してじゃあ何をすればそれが変わっていくのかっていうところを一緒に考えました。

価値観っていろんなものがあると思いますけど、それこそ女性の活躍なんていうのも1つの価値観だったりして、女性の活躍っていうことが例えばもっとこの地域で受け入れられるようになったりすると、その土地自体も変わってその土地に新しい人材が入ってくるっていうきっかけにもなり得る。

そうすることによって仕事が生まれたりとかっていうことで、どんどんとさっきの負の連鎖が正の連鎖に変わっていく。そういう風に、最初に取り組む課題の整理として作ったりしています。

で、さっきの女性のデリケートゾーンケアの商品っていうことを通じて取り組んでいく形としては、よく言われる女性支援とかジェンダーバランスとか言ったりしますけれども、そういう女性の社会的地位の向上っていうところにも取り組んでいます。これもやっぱり負の連鎖だと。

じゃあこの事業を通じてどこに切り込んでいけばその負の連鎖が変わっていくかっていうのを、セオリーオブチェンジなんかで示して最初にこういう仮説を作ったりします。

よく我々なんかもよく使うやり方ですね。これはどちらかっていうと、特に定性的な文脈でやるやり方です。

木原:セオリーオブチェンジ自体も初めて知る方もたくさんいると思うんですけど、わかりやすく言うと、事業自体とか会社の課題ではなくて、この事業を通して社会をどうしていきたいのかとか、地域をどうしていきたいのかっていうのを、言葉に置き換えて地図みたいにしていくみたいな。地図じゃなくてもいいのかもしれませんが、整理していくというそういう理解でいいですか?

田淵氏:基本的にはそうです。なので、描く時にはまさに今おっしゃったように、自分の会社だけ見るんじゃなくて、もうちょっと大きく社会を見て、自分の会社がどこに位置づけられているのか、あるいは他の人たちって何やってるのか、誰に働きかければ何が変わっていくのかっていうのを見ていくようにします。

木原:新規で事業を作るときは割とこういうことも考えると思うんですよね。この事業を通して自分たちが社会のどういう課題を解決したいのかとか、社会をどう良くしていきたいのかっていのはあると思うんですけど、既存事業があると、会社の中の課題か、もう今すでに経営してる事業の課題にばっかり目が向いてしまって、やっぱこの事業を通してどうしていきたいのかっていう視点を持つことがなかなかできなくなっていたりとか、日々の仕事に忙殺されていたりとかすると思うので、これから事業を始める方も、既存事業があるんだけれども、そもそもこの事業をやっていくことがどういう風に社会にとっていいのか、どう社会を変えていくのかとか、どう地域にとっていいのかっていうのを考えていくっていうのをこうやって見える化させることができるんだっていうのは、すごく勉強になりますよね。

田淵氏:そうですよね。ゼブラの考え方にもある、さっきの関係者みたいな話で、関係者を意識するっていうのはやっぱりすごく大事です。

自分って本当に誰に対して影響を与えてるんだろうと。もちろん事業やってれば普通は与えてると思います。でも、実はそれだけじゃなくて、間接的に影響を与えてるような人って他にもいたりとかね。そういった関係者の人たちって、自分の事業を通じて何を受け取ってくれてるんだろうとか、その人たちにどんな良い意味での影響、どんないい経験を与えれてるんだろうとか。

ただ単に物、あるいはサービスを売ってお金もらうっていうだけじゃないと思うんです。ないものってたくさんある。そのサービスを受け取ることによって、そのサービスとその人にとって次にどんな変化が起きるのか、というのはあると思うんです。

例えば、さっきのデリケートゾーンをケアする商品を買ってくれた女性がいたとして、 彼女がその商品を買ってくれることで、自分の体をケアしたりしていくわけですけど、それによって彼女にどういう変化が起きていくかみたいなのを考えていく。僕らの言葉で言うと社会的インパクトをどう考えていくかですね。

実は、そのくらいまで考えてくると、結構定量的なことってのは結構色々出せるんですよ。例えば何か商品を使った人が病気が治ったとして。そういう病気が治る人って、これを使ってくれた人はどれくらいで、この事業をやっていくと何人ぐらい病気が治る人が出てくるのかって考えたりすると、まさにそれ自体が定量的な目標になりうるわけですよね。それはイコール、かなりお客さんの数っていうのがベースにあって、さらにいろんなタイプの数が出せるので、そうやって考えていくと、先ほどお話されてた定量的に数字を置くみたいなこともやりやすくなってくるかなと。

木原:確かに。かなり多角的で広い視野で見ていくっていうことなんだなってすごく思いました。商売をしてると、お客様とか株主っていうのは、さっき田淵さんがおっしゃったみたいに、ステークホルダーや関係者としてパッと想起しやすいと思うですけど、じゃあ、お客様以外で商品を直接買ってくださる方以外にも自分たちが何か寄与している人たちがいるとか、お客様にとっても、その商品のいわゆる機能的なものだけではなくて、この商品が与える精神的なポジティブな側面とか、その人がポジティブになることによって周りの人に与える影響とか、例えばなんか子どもに与える影響とか。そういうことまで想像力を働かせていくことが、ある意味社会的インパクトということを抽象的なものではなくて明確にしていく

それが明確になっていくことによって、ソーシャルインパクトとかインパクト投資っていうの受けられる可能性が出てきたりとかするのかなというのは、お話を聞きながら思いました。

––––––– vol.1 終わり

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