インタビュー

Oita GROWTH Ventures(おおいたグロースベンチャーズ)採択起業家インタビューvol.4  花田 亜弥氏(株式会社 Bambitz)

<令和6年度 Oita GROWTH Ventures 採択者>
株式会社Bambitz   代表取締役 花田亜弥氏

こちらは、⼤分県成⻑志向起業家育成⽀援事業「Oita GROWTH Ventures(おおいたグロースベンチャーズ)」の採択起業家5者の事業を始めたきっかけやお人柄、今後の展望をより多くの方に知っていただくことと、実際にアクセラレーションプログラムを開始しての現状や、今後目指していく事業成長についてお話を伺ったインタビュー記事です。

4人目の採択起業家は、株式会社 Bambitz   代表取締役 花田亜弥氏です。
「私の行動一つでどこまでも飛躍できる無限大の可能性を広げてくれた」

株式会社Bambitz   代表取締役 花田亜弥氏

シングルマザーとして奮闘した日々
困り事がビジネスのヒントに

 動物のバンビからヒントを得た「Bambitz(バンビッツ)」という社名。イタリアでは「子ども(bambino)」を省略し、「バンビ」とも言うらしい。「動物って親子で群れて、チームとして動くじゃないですか。みんなで支え合えるそんなチームを作りたいと思い名付けました」。中学ではソフトボール部のプレイヤーとして、高校では野球部のマネージャーとしてチームワークの大切さを経験した花田さんらしい想いが込められている。

 もともと会社員だった花田さん。結婚、出産を経て、お子さんが1歳と2歳の時にシングルマザーになった。「福岡で子育てと仕事の目まぐるしい日々を送りました。有給では休みが足りず欠勤扱いになり収入も減り、仕事を変えないと…と思っていました。副業をしたくても、保育園以外で子どもを預かってくれる場所もないし、行政に相談しても手段がなく、解決の糸口が見つかりませんでした。その時『私のように困っているママの手助けになりたい』と会社を辞め、資格取得や就労支援の手伝いをするNPO法人『Bambitz』を立ち上げました」。ご両親の希望もあり、お子さんが小学校に上がるタイミングで大分へ。今から10年前のことだった。

今も昔も、ママたちの悩みは変わらないという現実

 大分に帰省後、会社員として就職。食品事業に加え保育関連事業も行っている企業で、花田さんは保育園の運営に関わるようになった。「専門的な知識がなかったので、現場の声を知りたいと、園に入り先生方と一緒に仕事をしました。事業の中の一つにベビーシッター部門があったんですが、当時はうまく機能していませんでした。でも、断らず依頼を受けていたら、数年後にベビーシッター業務も忙しくなってきたんです。『365日24時間、困ったママたちの全てに手を差し伸べる』という会社の方針に共感していたところもあり、会社に骨を埋めるつもりで頑張っていたんですが、コロナ渦での組織改革でベビーシッター部門がなくなってしまったんです。それなら、私がやろう!と会社を辞めました」。

 その後「子育てサポート バンビッツ」として個人での運営を開始した。しかし、ゼロからのスタートで売り上げも見込めず、現実は甘くはなかった。半年が経ち、利用者も少しづつ増え、「株式会社 Bambitz」として法人化し、再スタートを切った。

 子育て支援は手厚くなった昨今だが、ママたちの困り事は今も昔も変わらないという現実を保育現場で見てきた花田さん。ベビーシッターを利用せざるおえない人たちは非課税世帯の人たちが多く、そのママたちをサポートするためにはどうしたらいいんだろう…と模索している中、Oita GROWTH Venturesの支援事業を知った。「行政の協力、そして子育て世代を担う企業がどれだけフォローアップしてくれるかがネック。私のような第三者が企業にアプローチし、支援を提案するべきだと。そこがクリアになれば、子育ての悩みは少し解消されるんじゃないかと思っているんです」。

目線を変えるだけで見えてきた
誰に何を伝えることが必要か

 やるべきことは見えていても、形にする術がわからない。自分一人のマンパワーで、実現するまでに何年かかるんだろう…と思っていた。しかし、今回の支援事業を通じ、あっという間に形になっていくのを実感した。

 数回のメンタリングを受ける中で、目から鱗の出来事があったと花田さん。「これまでは自分の想いや、事業の意義を伝えることに注力していました。でもメンターの方に『企業の経営者サイドに立って、利用することで生まれるメリットが一目で理解できるプレゼンの方法を考えてみませんか?』とアドバイスしてくださって。私からの一方通行だったアプローチの方法を、いろんな目線に立って考えるだけでこんなにも立体的に変化するんだと気づかされました。雇用主の方は男性が多いので、わかりやすい言葉で、シンプルに、働く方のメリットがわかるような伝え方が必要だと。今それを一生懸命に考えている最中です」。豊富な経験や知識、幅広い人脈を駆使し、親身になってサポートしてくれたメンターの方々には感謝しかないと話していた。

日本人シッターの質の高さを武器に
世界に事業を広げてたい

 2月末の最終ピッチまではあと少し…。準備は進んでいますか? 「私の場合、成果として発表しやすいかもしれません。冠婚葬祭の分野にも、いつか入り込みたいという構想はあったんです。小さなお子さんがいると、結婚式や葬儀の参列を諦める人もいると思います。そんな時にベビーシッターがいると安心して参加できる環境が整うんじゃないかと思っていて、メンターの方にその話をしたら葬祭事業を展開している方をご紹介いただき、県内のみならず全国を視野に入れた話しが具体的に進んでいる状況なんです。何年間も漠然と考えていたことが、今回の支援事業を通じ、短期間で形になりつつあり、次の展開も見えてきました」。加えて、10年、20年先のビジョンも見えてきたと花田さん。「子どもは世界中にいます。日本人シッターの質の高さを強みに、大分に留まらず、日本、世界で事業を展開していきたい。夢を実現する力も、この事業で培わせていただいた気がします」。

 年始の挨拶の際、銀行の営業担当の方から「今年は飛躍の年になりそうですね」と言われ、例年は「なるといいですねえ」と返答していたが、今年は「なりますよ!」と断言した花田さん。「こんなに今年の1年が楽しみだと思った年はないです!私の動き一つで、どこまでも飛躍できるんだ。だから頑張ろう!って、今からワクワクしてます」。

 これからは、家庭円満のために、誰もが気軽にべビーシッターを利用できる時代になってほしいと、どこまでも広がる夢と可能性に心躍らせてた。

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■取材・文:安達博子

■多様な事業成長を支援し、新しい経済と社会価値を創る「Oita GROWTH Ventures」
公式サイト:https://oita-growth-ventures.com/

主催:大分県
運営:KIHARA Commons 株式会社

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